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浮浪児1945を読んで その1

第二次大戦後の日本には、戦争によって両親を失った者が約12万人おり、浮浪児になった者は推定3万5千人もいるそうです。その浮浪児たちがもっとも多く集まったのは東京の上野駅らしく、それについてのルポルタージュが「浮浪児1945」(石井光太著、新潮文庫)です。内容は素晴らしく、こういった本に出会えることは幸運だと私は思いました。
ただし、この本に通底している、浮浪児たちが道徳的に間違ったことをしても、盗みをしても、暴力をふるっても、浮浪児たちを被害者だとみなす視点には大いに疑問があります。確かに、浮浪児たちが大人の戦争の被害者であることは否定しようがありませんし、浮浪児たちを収容する孤児院の環境が劣悪だったことは事実のようです。この当時、闇市を利用しなければ餓死する危険もあったことを考えれば、法律やお上に常に従順に生きるべきだったと私は思いません。しかし、他人に迷惑をかけているのに、他人を傷つけているのに、自分より弱い者をいじめているのに、浮浪児たちを被害者扱いするのは道徳的に間違っています。本当の被害者であり、本当に同情すべきなのは、他人を踏みつけて生き抜いた浮浪児たちでなく、他人に迷惑をかけずに生き抜いた浮浪児たち、あるいは(自分がどんな状況であっても)他人に迷惑をかけることはせずに死んでいった浮浪児たちのはずです。
他人を踏みつけずに生き抜く方法はあり、孤児院の理不尽さを改善する方法だってあったことを考えると、上野の浮浪児たちを終始一貫して同情する視点で書くのは(上記のような視点が一切ないまま書くのは)問題があるでしょう。
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日本人らしくない発想をする日本人=日本で生きづらい日本人

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